キャッチコピーが語らないもの

大阪のコピーライター SpeedFreaksの足立です。

自慢するけど嫌われない人
自慢して嫌われる人

まわりにいませんか?
なぜそのような差がでるのでしょうか?

自慢はしない方がいい

また同じようなことを言っていますが

さりげなく自慢する人、自慢ではなく事実として伝える人、いかにも自慢です!といった言い方で自慢する人、さまざまいますが、広告となると「いかにも自慢です!」というニュアンスで訴求してしまいそうになります。

名作中の名作「フォルクスワーゲン」の広告です。
このキャッチコピーであるLemonとは「不良品」という意味のスラングです。

この広告を見た人は「?」となりますよね。

ボディコピーからハテナを紐解く

Lemonの下部のボディコピーにその秘密が記載されています。

こ の フ ォ ル ク ス ワ ー ゲ ン は 船 積 み さ れ ま せ ん で し た 。 車 体 の 1カ所のクロームがはがれ、しみになっているので取り替 えなければならないのです。およそ目につくことがないと思わ れるほどのものですが……クルト・クローナーという検査員 が発見したのです。

当 社 のウルフスブ ルグ の 工 場 で は 3 , 3 8 9 人 が 1 つ の 作 業 にあたっています。フォルクスワーゲンを、生産工程ごとに 検査するために、です(日産 3,000台のフォルクスワーゲン がつくられています。だから車より検査員の方が多いのです )。

あ ら ゆ る シ ョッ ク・ ア ブ ソ ー バ ー が テ ストさ れ ま す( 部 分 チェックではだめなのです)。ウィンドシールドもすべて検査されます。何台ものフォルクスワーゲンが、とうてい肉眼で は見えないような外装のかすり傷のために不合格となりまし た。

最終検査がまたすごい! フォルクスワーゲンの検査員 は 1 台ずつ車検台まで走らせていって、189 のチェック・ポ イントを引っぱりまわし、自動ブレーキスタンドへ向けて放ち ま す 。そ れ で 5 0 台 に 1 台 の フ ォ ル ク ス ワ ー ゲ ン に 対 し て 、「 ノ ー」をいうのです。

この細部にわたる準備が、他の車よりもフォルクスワーゲ ンを長持ちさせ、維持費を少なくさせるのです(中古フォル クスワーゲンが他の車にくらべて高価なワケもこれです)。

私たちは不良品をもぎとります。あなたはお値打ち品をどうぞ。

結局は自慢的な内容になっているのですが、そのようなニュアンスに聞こえない。読み手もそう捉えない。
それはキャッチコピーを読んだあとの「?」が解消された方が優っているからかもしれません。

順序を変えるだけで、読了後の感情の伝わり方が変わる。
キャッチコピーが語らない余白があると、伝わり方が変わる。

やはり何事にも工夫が必要なのですね。

その工夫こそがクリエイティヴなのだと思います。

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