広告代理店時代、いちばん葛藤したことそれは、「広告は見たくないもの」という大前提から制作をスタートしても、いつしか「広告は見たくないもの」という大前提を忘れてしまうことでした。
誰が忘れてしまう?それはクライアントです。
「広告」が面白い!と思ったきっかけは色々あるのですが、いざ業務として携わるようになって面白い!と実感したのはクライアントとのやりとりです。
広告は素人だから
「広告は素人だから任せる!」と言われることがありました。
正しくは「広告作りは素人」であり、その商品やサービスに対しては「プロ」です。
そして意識的でなくても、「広告」に接する機会があるわけなので、その感覚は広告の作り手としては非常に重要で、時にヒントを得ることがあります。
広告は見たくないものという大前提
「広告作りは素人」というクライアントでも、「広告は見たくないもの」「見られないもの」という大前提を理解している人も存在します。
しかし、理解をしていないクライアントも存在しています。
この場合、「広告」を作る打ち合わせの前にクライアントへの教育から始める場合がありました。
これが難しい。難しすぎて絶対ダメなんだけど、諦めたことも何度かあります。
修正の嵐
某美容サロンを経営している50代の女性社長がクライアントで、窓口は20代の女性という関係性で、フリーペーパーへの純広告を出稿するというお仕事での話。
デザインの設計図も、記載内容もすべてクライアントの指示、そしてそれをデザインするだけという仕事の流れ。もう口を挟む余地はありません。
しかし、戦いたい!それは結果を出したいという気持ちと、クライアントからの指示はあまりにも使い物にならなかったため。
思案した結果、言われたままの広告デザインをA案として提出、それを元にまったく違うデザインをしたのをB案として制作し提出しました。(この時点で制作費は圧迫!!)
するとどうでしょう!B案が採用されます。(勝利の美酒に酔いたい)
そして採用と共に微修正の連絡があり、勝利の美酒に酔う間も無く修正、提出。
フィードバックがあり修正、提出。
フィードバックがあり修正、提出。
フィードバックがあり修正、提出。
フィードバックがあり修正、提出。
あれ?原型がなくなっていっている。
「あの、この修正ってどんな意図があるんですか?」と聞いてみると
「社長の趣味です」
そこからかなり戦いましたが、惨敗しタイムアウトで出稿。
出来上がりを見て落胆してしまうような広告が出て、もちろん反響なし。
この経験があって「広告」って面白いなぁと呑気に思い、そこからものすごく勉強する日々が始まりました。
「どうすれば、広告は見たくないもの」として伝えるか。
今日、ふとYahooで「広告」と検索したらサジェストでこう表示されました。
「広告を非表示にする方法」
みんな広告は見たくないのだ。